いつかは行ってみたいなと思いつつ、あまりに遠いので行くことがあるのかなと思っていた場所に来てしまった。ロシアのカレリア共和国、オネガ湖に浮かぶ小さな島であるキジー島は特徴的な玉ねぎ型の屋根の木造建築の教会とか絵本の世界みたいだ。
ペトロザヴォーツクのスパホテル カレリアでキジ島行きのツアーを予約したのだが、9:15出発でキジー島に4時間程度滞在してペトロザヴォーツクへ16:15着に戻ってくるツアーが2860ルーブルだった。
キジ島までは高速船で1.5時間くらい。波がまったくないオネガ湖をすすむのだが、湖のほとりに建つ家があったりして、すごく不思議な風景だった。湖が増水したりしないのかな。そして、小さな島に建つ家はどうやって生活しているのだろう。葉巻型の船は結構なスピードで進んでいく。この形の船ってカンボジアのトンレサップ湖でも乗った気がするけれど湖での航行に適しているのだろうか。そして、カンボジアでは船の屋根に乗って5時間の旅。結構しんどかったな。
電気はどうやら湖底のとおるケーブルがあり、そして島では地中にケーブルが埋まっているみたいで問題がないみたい。携帯の電波もとおるし案外島での滞在も快適そうだ。しかし、キジ島は宿泊施設がないため泊まっての滞在は不可能となっている。
キジ島へ向かうペトロザヴォーツクからの船が運航しているのは4月から9月まで。冬場は湖が氷付き船が運航できないらしい。キジ島は島全体が世界遺産に登録されていて、島内の移動はおもに馬車!が走っていたりする。自動車はまったく見かけなかったな。
電線も地中化されていて景色を遮る人工物がなにもなく、丘の上からところどころに建つ木造の古い建物や教会を眺めていると、なんだか本当に中世のヨーロッパの世界に来たかのような感じがする。風の強い丘の上から眺める風景は本当に来てよかったと思えるものだった。
キジはカレリア語で「祭祀の場」を意味していて、ここはもともとも宗教的な意味合いの強い場所だったみたいだ。もっとも有名なプレオプラジェンスカヤ教会は改修工事のため、一部に足場が組まれたりしていて、ちょっと残念なところはあった。でも、島全体にひびく教会の鐘の音は美しく、夢のなかにいるかのようだ。モスクワやサンクトペテルブルクのワールドカップ喧噪もここではまったく無縁であり、静かな生活が行われている。
丘の上の風車やそこから眺めた小さな村、教会から見えた風景など、またいつか来たいなって思える場所だった。木造教会があってこその場所だとは思うけれど、本当に美しい場所だったな、いつかまた来たい場所だ。
島全体は観光地化されているというか、観光のための島になっている。いくつかの古い建物は開放されていて昔のカレリアの人たちの暮らしが再現されていたりするのだが、そのなかで古い刺繍を展示している小さな博物館があったのでみてきた。素朴な刺繍のデザインは津軽の「こぎん刺」に似たデザインがあったりして、カレリアと津軽の共通点がすごく面白い。津軽も行きたいなあって思ってくる。
ある家のなかでは刺繍をしている女性がいて、遠くの教会では鐘の音がなっていて、なんだかすごく美しく心あたたまる風景をみている感じがした。そして、帰りのお土産物店で、刺繍を買ったりしてしまったものな。こぎん刺も持っているし、家に帰ったら比べてみようと思う。
帰りの船の時間はあっという間にやって来てしまう。朝食を食べたきりで全然食事していなかったのでものすごい空腹だ。船着き場にあったカフェテリアで軽く食事して船に乗りこんだらすっかり寝てしまった。
なんだか夢のようなキジ島への小旅行で、この旅に来てよかったと思える体験だった。
キジ島(Kizhi Pogost)
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